先日、近所のスポーツジムでこのようなチラシを見かけました。
お子さんの習い事の個人レッスン募集のチラシです。
一見、特に変わったところのないチラシのようですが、中央のスケジュール表に注目してみると、なんとなく見にくい気がしますね。
全体のレイアウトを変えることで見やすく改善できそうですが、今回はこの表に着目し、限られたスペースの中で見やすく改善する方法をご紹介したいと思います。
1.課題抽出
まず、この表を見にくいと感じる要因を課題として挙げてみます。
課題① ポップ体を使っている
ポップ体とは、手書き風の書体です。
商品のPOP(Point Of Purchase)に用いられるため、ポップ体といいます。
「親しみやすさ」や「楽しさ」を感じさせ、購買意欲を誘うので、商品名や価格の表示などには適していますが、このような小さいスペースに用いるには不向きです。
課題② 必要な情報(日付・時間)が見やすく記載されていない
親御さんがこのレッスンを検討する際、何を重視するのでしょうか。
私が親でしたら、メニュー内容の次に気になるのは実施日時です。
「小学生の習い事に関する実態調査」によると、子どもの習い事を検討する際に重視することは、「子どもがやりたがっているかどうか(81.8%)」に次いで、「曜日や時間帯の都合が合う(54.1%)」でした。
一般的に見ても、実施日時は重視されていることがわかります。
このレッスンは1日のみの実施ですが、開催時期が夏休みということもあり、曜日や時間帯は気になりますね。
しかしこの表では、日付・時間は縦長に変形されている(長体がかかっている)ため見にくく、曜日は記載されていません。
課題③ 情報をブロック化していない
もう一度、表を見てみましょう。
コーチ1人あたり1日3コマ=1単位として、器械体操は5単位、水泳は2単位ありますが、単位ごとの境界がわかりにくいですね。
このように情報のまとまりがわかりにくい(ブロック化していない)と、読み手は視線をスムーズに移動することができず、必要な情報を探しにくくなってしまいます。
2.改善デザイン案
上記の課題をもとに、作成した改善案がこちらです。
1. で挙げた課題①~③を改善しながら作成していきました。
改善方法を一つずつ見ていきたいと思います。
課題① ポップ体を使っている
改善方法・・・ポップ体ではなく、視認性の高いゴシック体を使用しました。
視認性とは、目で見たときの確認のしやすさのことをいいます。
ゴシック体は縦線と横線の太さがほぼ同じなので、文字が小さいときや、遠くから見たときにも比較的読みやすい書体です。
課題② 必要な情報(日付・時間)が見やすく記載されていない
改善方法・・・日付が目につきやすいよう、上段に配置しました。
また、曜日を追加し、土曜→青/日曜→赤/平日→黄に色分けしました。
日付を移動した分、その他の情報のスペースにゆとりができ、時間を大きく表示できるようになりました。
課題③ 情報をブロック化していない
改善方法・・・日付を上段に移動し、日単位のまとまりをわかりやすくしました。
さらに、単位の境界線を太くし、ブロック化しました。
3.まとめ
今回は、課題抽出➝改善方法の検討➝デザインに反映 というプロセスで改善を行いました。
「なんとなく見にくいな・・・」と感じたとき、文字を大きくしたり、きれいに整えたりするだけでは、根本的な改善にはならないことが多いです。
見にくい要因を洗い出し、それを解消する方法を考えることで、根拠をもって改善できるようになります。
まわり道に感じるかもしれませんが、「なんとなく見にくい」の「なんとなく」を可視化するので、実は改善への近道ができる方法です。
もし皆さんが資料作成でつまずいたときは、ぜひこの方法を試してみてください。
自分だけで課題が見つけにくいときは、他の人の意見をもらうと、新しい気づきがあるかもしれません。
私たちも、この手法を用いた「ユーザビリティテスト」や「カタログ診断」といったサービスで、改善のお手伝いをしております。お気軽にご相談ください!
※今回の改善案は改善手法の紹介のために制作したサンプルです。
当該団体との実際の取引・関連はありません。