「なんとなく見にくい」を改善するには?改善のコツをお伝えします!

「なんとなく見にくい」を改善するには?改善のコツをお伝えします!

2021年10月28日
レポート

先日、近所のスポーツジムでこのようなチラシを見かけました。

※一部加工しています

お子さんの習い事の個人レッスン募集のチラシです。

一見、特に変わったところのないチラシのようですが、中央のスケジュール表に注目してみると、なんとなく見にくい気がしますね。

全体のレイアウトを変えることで見やすく改善できそうですが、今回はこの表に着目し、限られたスペースの中で見やすく改善する方法をご紹介したいと思います。

1.課題抽出

まず、この表を見にくいと感じる要因を課題として挙げてみます。

課題① ポップ体を使っている

ポップ体とは、手書き風の書体です。

商品のPOP(Point Of Purchase)に用いられるため、ポップ体といいます。

「親しみやすさ」や「楽しさ」を感じさせ、購買意欲を誘うので、商品名や価格の表示などには適していますが、このような小さいスペースに用いるには不向きです。

課題② 必要な情報(日付・時間)が見やすく記載されていない

親御さんがこのレッスンを検討する際、何を重視するのでしょうか。

私が親でしたら、メニュー内容の次に気になるのは実施日時です。

「小学生の習い事に関する実態調査」によると、子どもの習い事を検討する際に重視することは、「子どもがやりたがっているかどうか(81.8%)」に次いで、「曜日や時間帯の都合が合う(54.1%)」でした。

一般的に見ても、実施日時は重視されていることがわかります。

(出所) 栄光ゼミナール「小学生の習い事に関する実態調査」

このレッスンは1日のみの実施ですが、開催時期が夏休みということもあり、曜日や時間帯は気になりますね。

しかしこの表では、日付・時間は縦長に変形されている(長体がかかっている)ため見にくく、曜日は記載されていません。

課題情報をブロック化していない

もう一度、表を見てみましょう。

コーチ1人あたり1日3コマ=1単位として、器械体操は5単位、水泳は2単位ありますが、単位ごとの境界がわかりにくいですね。

このように情報のまとまりがわかりにくい(ブロック化していない)と、読み手は視線をスムーズに移動することができず、必要な情報を探しにくくなってしまいます。

2.改善デザイン案

上記の課題をもとに、作成した改善案がこちらです。

1. で挙げた課題①~③を改善しながら作成していきました。

改善方法を一つずつ見ていきたいと思います。

課題① ポップ体を使っている

改善方法・・・ポップ体ではなく、視認性の高いゴシック体を使用しました。

視認性とは、目で見たときの確認のしやすさのことをいいます。
ゴシック体は縦線と横線の太さがほぼ同じなので、文字が小さいときや、遠くから見たときにも比較的読みやすい書体です。

課題② 必要な情報(日付・時間)が見やすく記載されていない

改善方法・・・日付が目につきやすいよう、上段に配置しました。

また、曜日を追加し、土曜→青/日曜→赤/平日→黄に色分けしました。

日付を移動した分、その他の情報のスペースにゆとりができ、時間を大きく表示できるようになりました。

課題③ 情報をブロック化していない

改善方法・・・日付を上段に移動し、日単位のまとまりをわかりやすくしました。

さらに、単位の境界線を太くし、ブロック化しました。

3.まとめ

今回は、課題抽出➝改善方法の検討➝デザインに反映 というプロセスで改善を行いました。

「なんとなく見にくいな・・・」と感じたとき、文字を大きくしたり、きれいに整えたりするだけでは、根本的な改善にはならないことが多いです。

見にくい要因を洗い出し、それを解消する方法を考えることで、根拠をもって改善できるようになります。
まわり道に感じるかもしれませんが、「なんとなく見にくい」の「なんとなく」を可視化するので、実は改善への近道ができる方法です。

もし皆さんが資料作成でつまずいたときは、ぜひこの方法を試してみてください。
自分だけで課題が見つけにくいときは、他の人の意見をもらうと、新しい気づきがあるかもしれません。

私たちも、この手法を用いた「ユーザビリティテスト」や「カタログ診断」といったサービスで、改善のお手伝いをしております。お気軽にご相談ください!

※今回の改善案は改善手法の紹介のために制作したサンプルです。
当該団体との実際の取引・関連はありません。