【前編】色の見え方は人それぞれ ①伝わる配色とは

【前編】色の見え方は人それぞれ ①伝わる配色とは

2023年10月27日
レポート

私たちは生活するうえで様々な色を認識していますが、色の見え方には個人差があることをご存知でしょうか。

同じものを見ていても、色の見え方は人それぞれです。

女性は男性よりも識別できる色数が多いといわれていたり、色弱者には見分けにくい色があったりなど、色の見え方にも多様性があります。

今回は「色弱」に着目して、色弱とは何か、また色弱者にも伝わる配色はどんな色かを解説します。
※ 最近では「色覚多様性」と表現されることが多いですが、今回は「色弱」という表現に統一します

色弱の種類と見え方

色弱とは、特定範囲の色の見え方が一般色覚者と異なり、色の差を感じにくいことをいいます。
そのため色弱者は、色の組み合わせによっては見分けることが難しいことがあります。

色弱者は日本に約 320 万人いるとされていて、男性は約 20 人に 1 人、女性は約 500 人に 1 人の割合です。
男性の方が女性より割合が高く、思いのほか多いと感じる方もいるのではないでしょうか。

色弱にはいくつか種類がありますが、今回はその中でも多くを占めるP型色覚とD型色覚をご紹介します。

① P 型色覚 … 赤の光を感じる L 錐体が機能していない
② D 型色覚 … 緑の光を感じる M 錐体が機能していない

特徴として、P 型色覚と D 型色覚は、「紫~青」「緑~赤」までの範囲の見分けが難しく、P 型色覚は濃い赤が黒と同じように見えます。

https://www.toyoink1050plus.com/sustainability/ucd/color-vision-defects/

色弱者が見分けにくい色の組み合わせ

先ほどお伝えしたように、P型色覚やD型色覚は「紫~青」「緑~赤」までの範囲の見分けが難しいため、「紫と青」「緑と赤」などの組み合わせは見分けにくく、同じような色に見えてしまいます。

ただ、見分けにくい組み合わせであっても、色相や明度によっては識別できることがあります。

また、P型色覚やD型色覚の人が全員同じ見え方をするわけではないので、下図は1つの目安として参考にしていただければと思います。

https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/kanren/color.files/colorudguideline.pdf

色弱者にも伝わる配色

色弱者は、一般色覚者と比べて見分けにくい組み合わせがあることがわかりました。
では、色弱者にも伝わる配色にするためには、どのようにしたらいいのでしょうか。
今回は改善方法を4つご紹介します。

① 寒色と暖色の組み合わせにする

下図を見ると、寒色と暖色の組み合わせは、色弱者にとって見分けやすいことがわかると思います(似た色をまとめるため、中性色の紫は寒色系、緑は暖色系に分類しています)。

「青とオレンジ」「紫と緑」などの組み合わせは、色弱者にとっても見分けやすいですね。

② 明度に差をつける

同系色を使いたい場合は、明度の異なるグラデーションにすると見分けやすく、統一感のある色味になります。

③「赤と緑」が見分けにくい場合、緑を「青味のある緑」にする

本来「赤と緑」は見分けにくい組み合わせですが、緑に青味をプラスすることで、見分けやすくなります。

④「濃い赤と黒」が見分けにくい場合、濃い赤を「朱色」にする

濃い赤は黒に近い色に見えてしまうため、やや黄を帯びた赤=朱色にすることで、見分けやすくなります。

コミュニケーションの多くは、言葉や文字によって行われますが、色もコミュニケーションに欠かせない要素です。
自分が識別できるから大丈夫、ではなく、他の人はどうだろう?と視点を変えて考えることが大切ですね。

今回は、色による工夫でどのように改善できるのかを解説しました。
次回は、色に頼らない工夫でどのように改善できるのか、また色弱者の見え方を再現するツールをご紹介します。

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