今回は、「語源から考える『コミュニケーションデザイン』とは? 」の後編です。
前編を読まれていない方は、ぜひこちらもご覧ください!
前編では「コミュニケーションデザイン」の「コミュニケーション」という言葉について、語源を調べていきました。
後編では「デザイン」の意味について、そして語源を踏まえて「コミュニケーションデザイン」の意味を、あらためて考えていきたいと思います。
「デザイン」とは?
(1)辞書的な意味
「デザイン」という言葉は普段、どんなときに使うでしょうか。
たとえば、チラシをWordで作るときに、「カッコ良くデザインしてほしいな〜」と言われることもあるかもしれませんし、友人の持っているカバンを見て「良いデザインだね」ということもあると思います。
ではあらためて、「デザイン」の意味を辞書で調べてみます。
デザイン(design)[名](スル)
- 建築・工業製品・服飾・商業美術などの分野で、実用面などを考慮して造形作品を意匠すること。
「都市をデザインする」「制服をデザインする」「インテリアデザイン」 - 案や模様を考案すること。また、そのもの。「家具にデザインを施す」「商標をデザインする」
- 目的をもって具体的に立案・設計すること。「快適な生活をデザインする」
引用元:デジタル大辞泉(小学館)
「意匠※すること」「考案すること」「立案・設計すること」という動詞の意味が含まれています。
名詞としては、「その結果出来上がったもの」を指すときに使っています。
※物品、建築物及び画像のより美しい形態、より使い勝手のよい形態を探求する行為(特許庁より)
(2)語源
では、「デザイン」の語源はどうでしょうか。
ここでは、動詞(「デザインする」)の意味を調べてみます。
Design (v.)
14世紀後半、ラテン語のdesignare “印をつける”(de-参照)+signare “印をつける”(signum “識別する印、記号”(sign (n.)参照)から、最終的に “形づくる、形作る”。
16世紀のイタリア語の動詞disegnareは、“考案する、企てる、意図する “と “描(か)く、描(えが)く、刺繍する “という意味を発展させた。フランス語はイタリア語からこの2つの意味を別の形で取り入れ、英語へと引き継いだ。
1540年代から “計画や輪郭を描く、計画を立てる”、1703年から “目的のために工夫する”。特に提案された作品の「輪郭や図を描く」という他動詞的な意味は1630年代から、「計画し実行する、芸術的な技術でファッションする」という意味は1660年代から。グラフィックや造形芸術で独創的な仕事をする」という自動詞的な意味は1854年まで。また、17c. 現在ではdesignate(指定する)の意味で使われる。関連: デザインする。
引用元:エティモンライン – 英語語源辞典
デザインという言葉は、ラテン語で、「印をつける」という意味の「designare」(デシグナーレ)が語源のようです。
そこから「計画を記号に表す」という意味に発展しています。
16世紀のイタリア語では「考案する、企てる、意図する」という意味と「描く、描く、刺繍する」という意味が加わっています。
そして17世紀になると、「目的のために工夫する」という意味で使われるようになりました。
デザインとはもともと、「目に見える形で計画を表すこと」を指していたのですね。
そこから「デザイン」という言葉は、時代とともに意味合いが広がり、現在では「見た目だけでなく、機能性や利便性なども考慮した、モノ作り全般の活動」を指す言葉として使われるようになったようです。
「見た目はオシャレだけど、使いにくいデザイン」と言われてしまうものは、厳密にいうと「デザインされている」ものではなく、「使いやすさよりも、見た目のオシャレさという価値を優先したもの」ということなのかもしれませんね。
デザインについてのまとめ
- デザインとは、意匠すること、考案すること、立案・設計すること
- 「目に見える形で計画を表すこと」から意味合いが発展した
「コミュニケーションデザイン」とは?
それではあらためて言葉の意味から言い換えると、
「コミュニケーションデザイン」とは「情報を伝達し、共有すること」を
「実用面を考慮して計画・意匠する」ことを指す。
ということがわかりました。
そして伝えたい気持ちや情報は、声や動作を使ったり、媒体(medium)使って伝えたりしている、ということですね。
ところで、「happy medium」というフレーズはご存じでしょうか?
(私は恥ずかしながら、今回の記事を作成するなかで初めて知りました。)
「妥協」や「お互いに譲歩する」という意味のフレーズです。
同じような意味のフレーズに、「meet halfway」もあります。
両者は共に妥協を意味しますが、「meet halfway」はお互いに譲歩する具体的な行動を指します。
一方「happy medium」は、よりバランスの取れた解決策を見つけることを指します。
それぞれの使い分けとしてはこのような違いがあります。
Meet halfway: 「彼の意見と私の意見の中間点で妥協しよう」
Happy medium: 「彼のアイデアと私のアイデアの良い部分を組み合わせて、みんなが納得する解決策を見つけよう」
妥協する「meet halfway」より、「happy medium」な、より良い解決策見つけていくことが「コミュニケーションデザイン」という視点と言えるのではないでしょうか。
おわりに
あらためて、つなデザでは、「コミュニケーションデザイン」について次のように説明しています。
コミュニケーションデザインとは、
人と人・企業とお客さまとのコミュニケーションをデザインすることです。
コミュニケーションデザインによってわかりやすく情報を伝達することで、お客さまとのつながりをつくり出すことができます。
伝えたいことが伝えたいひとへと伝わるように。
そして、その情報をみなさんと共有しながら、より素敵なつながりを作っていければと思います。
これからもどうぞよろしくお願いします!